Films:June.2024『Perfect Days』ほか
6月にみた映画
1. 押井守『機動警察パトレイバー2 The Movie』
OPから押井節全開でテンション爆上げ。キャラデザも渋いし、後藤隊長もさらに渋くて好き。
93年の時点でこんなテロ戦争やってたのも胸熱。流石すぎる!鳥肌もん。
東京の街、新橋の地下ダンジョン、日本橋も吹っ飛ばす。
荒川と後藤の平和と戦争の問答がすばらしすぎて、パレスチナのファッションデモしてる方達に届け〜。
2. パトリス・ルコント『レ・ブロンゼ/日焼けした連中』
OPのゲンスブールからわくわく。フランス人のバカンスとアムールにかける情熱がすごい。
ノリノリでハメ外しまくりの皆のなかで浮きまくるミシェル・ブランのナードスタイルも萌える。
ほぼ陰毛はみ出しブーメランパンツからの食い込みとか、コートジボワールの太陽でアホ過ぎる奴らが最高〜
3. パトリス・ルコント『レ・ブロンゼ/スキーに行く』
初期ルコントの悪ノリが過ぎる、スキーダヨ!再集合!
初っ端からミシェル・ブランがサン・ラザール駅でポツリしてるとこからして可笑しい。
仲良いんだか悪いんだか、わちゃわちゃ、はちゃめちゃなスキー旅。
チーズフォンデュにフロス入れたり、残り物の寝かせたやば過ぎる郷土料理にカエル入りのお酒にとゲテモノばかり。
スキー場に連れてこられたワンコ♡ペペットちゃん。可哀想だけど、かわいい〜
4. フランソワ・トリュフォー『恋のエチュード』
トリュフォーのなかでも文芸度高めなこちら。
英国姉妹で揺れ動くレオー君のやっぱりダメダメなところは勿論、映像の美しさとジョルジュ・ドルリューの音楽がぴったりと合うしっとり良い時間。
ロダンの彫刻がとても印象的だし、ラストシーンのもの哀しさが素晴らしい。
5. ウィリアム・ワイラー『我等の生涯の最良の年』
戦後のアメリカ兵たちのそれぞれ。なんかキレーすぎて、尺以上に長く感じてしまった。
6. ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーク『マリア・ブラウンの結婚』
オープニングのぶっ壊れ方から格好良すぎてたまらん。
戦後ドイツのわたしの生きる道。独自過ぎる女の自立を通り越してるのがカッコ良過ぎるし、決まりまくるカットの連続にマリア・ブラウンの衣装もメイクも素敵。
自宅購入から夫の帰還、ワールドカップの中継と同時進行する爆発のラスト。どこまでも素晴らし過ぎる。
7. シャンタル・アケルマン『東から』
世界の車窓から、みたいにただそこをパンして眺めているだけなのにずっと眺めていられるシャンタル・アケルマンの魔法。
これまで観てきたベルギーやNYとは明らかに違う旧共産圏のどんよりグレーの景色とほっかむりのおばさん。
8. クロード・ソーテ『ギャルソン!』
中年の元ダンサーのギャルソンの日々。
誰とも微妙に距離を置いたり、女性とも踏み込んだ関係になれない、イヴモンちゃん。
バゲットを薪のように抱えたり、ギャルソンのお仕事風景もたまらなく好きな光景!
海辺で犬が邪魔してくるシーンとか最高。で、夏の夕立ちのラストシーンが素晴らしすぎて人生!って感じの愛すべき映画。
9. 山田洋次『男はつらいよ 寅次郎と殿様』
殿様アラカンと寅ちゃん。こういう爺様をモノにするのが上手いのに、やっぱりマドンナとはしょんぼりな寅ちゃん。
ワンコのトラと、鯉のぼりと、パパイヤのやり取りがさすがの掛け合わせで楽し〜
10. ジェローム・エンリコ『ジャンキーばあさんのあぶないケーキ屋』
言われなきゃわからないベルナデット・ラフォン婆。
パリの外れの団地で草入りのケーキ売人になっちゃうの、安易過ぎるけどそれなりに楽しくむちゃくちゃしてる。
で、アムステルダム店で移転再オープンとはまた。
11. ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『不安は魂を食いつくす』
孤独の隙に惹かれ合った移民と老婆。周り中の冷たい視線や嫌がらせ、そしてその人々の手のひら返しにと世間は鬼ばかり。
クスクス...って連呼するアリ。夏だし食べたくなっちゃう〜。
12. ヴィム・ヴェンダース『パーフェクト・デイズ』
KOMOREBIの儚い美しさのように暮らす訳ありの中年役所広司は流石の存在感。
トーキョーのトイレや夜景、高速道路をああして撮れるのがヴェンダースマジック。
日々のルーチンも缶コーヒーも銭湯も浅草地下の酒場も、カセットテープもあざとい設定だし、ユニクロぉぉ...ってなるけど、そういうのも含めて大きな力と日陰者の世界は別の世界ってことで。
ネットもテレビもない本と音楽だけの静かな暮らしは現代人にはある意味理想の暮らしで、虚構のようでいて癒し的な世界。
音楽選びも真正面からの名曲で攻めて、ラストのニーナ・シモンでおばちゃんも泣いちゃう。
写真屋の親父が柴田元幸さん!
13. シャンタル・アケルマン『ノーホーム・ムーヴィー』
母親の死と向き合った、シャンタルラスト作品。
殺伐とした砂漠の荒地と、ブリュッセルの実家と、出張先でのスカイプ。
実家での微妙な空気感と、確実に老いて死の近づいてきている母とカメラ越しに向き合うのが淡々とした温度感がアケルマンしてる。
家族のルーツ、母親の過去何かを確かめるようでいても、どこか乾いていて。自宅ベランダからの眺め、揺れるカーテン、キッチンの音、ちょっとしたそんな心象風景を映すのがうますぎる。
14. グレタ・ガーヴィク『バービー』
グレタ&ノア夫婦によるバービーなんだもの、フェミやポリコレをどう調理してくれるのか超期待していたのに。
まさかの教科書みたいな説教くさいピンクランドでしょぼーん。これが本当にフランシス・ハ撮ったひと?
15. リチャード・リンクレイター『バーナデッド ママは行方不明』
流石のリチャード・リンクレイター。
不安定な女性ホルモン不足やらせたら天才的すぎるケイト・ブランシェット。
シアトルのママ友ならぬ毒女との諍いなどのピリピリから、精神科入院から逃亡の後半が舞台は南極!って並外れすぎだけども、夫婦の再生と娘の愛に泣いちゃう。
娘が一緒にTime after time熱唱してくれる車内シーンとか最高。