Films:July.2024『スワンの恋』ほか
7月にみた映画18本
1. ダニエル・シュミット『天使の影』
戦後ドイツの苦悩がぐちゃぐちゃに詰まってる感じで。
冒頭の子猫の死と重なるラストシーンの荒野とその背景に浮かぶ街がお見事なシーン。
イングリット・カーフェンの虚無な感じとクソ男役なファスビンダーの末路も哀しくてどこまでも退廃が隅々まで満ちていてしんどい。
娼婦たちが人力移動しまくる倉庫?のシーンの頑張りもイイ!
2. ジャック・ドワイヨン『放蕩娘』
父ピコリとの近親相姦な生々しい関係とメンヘラが激しいジェーンの、ずっと不安定でいて迷言連発。
危うすぎてこっちが不安になるわ。
ジェーン自体ちょうどゲンスブールとドワイヨン監督との間にいる時期でなんかそんな空気も映ってるのかな?
艶やかな唇やあのスタイルにドキドキしちゃう。
3. デレク・ジャーマン『カラヴァッジオ』
お久しぶりのデレク・ジャーマン。当たり前だけど、ソドム要素が全面にありきで、カラヴァッジオの絵画世界を再現。
ところどころに現代なツールを交えておしゃれ〜に演出するのも流石。ティルダ・スウィントンの変化もハッとする。
4. フォルカー・シュレンドルフ『スワンの恋』
絶賛プルーストを読み進めているので、改めての鑑賞。
ヴァントゥイユの旋律、カトレア、などなど見事に映像化していてうっとり。
ラストが"ゲルマントのほう"のオリヤーヌの赤いドレスに黒い靴のくだりがちょうど読んでいたところだっので、おぉーっとなり、スワンの老いと死のイメージが切ない。
5. 鈴木清順『青い乳房』
唐突に悪人と善人が入れ替わったり、不思議テンションなままポカーンとTHE終!
池袋も、豊島園も人力スプラッシュマウンテンみたいのも味わい。とりあえず役者サンが皆好みでなかったわん。
6. キャロル・リード『文化果つるところ』
クズがアジアの奥地でさらに堕ちてゆくのかこの梅雨の湿度とともに、じんわりくる。
豚野郎からのチャーシュー巻きみたいなハンモックの火炙りの刑つら。
ラストの土砂降りのなかのいちばん辛い扱いが効いてる。現地妻な彼女のバリバリまつげ
7. フランソワ・トリュフォー『私のように美しい娘』
ナチュラルボーンビッチのベルナデット・ラフォンが、あまりに自然に運命を乗り換えて行ける力に、ミイラ取りがミイラになるやつ。
害虫駆除のシャルル・デネルがほんと好き。そしてバンジョーなOPから名曲ばかりのジョルジュ・ドルリューの音楽も最高に好きすぎる。
まるで俺なフィルム少年やラストの秘書ちゃんまで細かく楽しいのも流石です。
8. マイク・ニコルズ『キャッチ22』
戦争真っ只中の不条理が過ぎる。出てくるだけで怪しさ満点のオーソン・ウェルズに、居るだけでいいアート・ガーファンクル、その他豪華面子に続々と重ねられる悪夢。
渦中にうまく渡って行ける人と、逃げるしかない人。ぞっとする。
9. 野田幸男『0課の女 赤い手錠』
杉本美樹さんがクールビューティー過ぎるなか、エロスってよりもバイオレンス強めで役者も豪華すぎのなか、荒木一郎の台詞一言のうえずっと木彫りしてるのがインパクト。
三原葉子がずっと食べてる伸び切ったラーメンと餃子丼みたいのが食べた過ぎる!
10. 原田眞人『タフ Part.Ⅰ』
三度目の再鑑賞で夏のタフ祭り開催!
タイトルの出しかたから攻めてるし3回目ともなるとキター!って喜。
師匠の大久保鷹が雰囲気ありすぎて妙にリアル。で三原じゅん子!タフ!
"誕生"ってことで続きが気になります!そしてトヨエツには気づかなかったよ、トマトまん。
観るたび好きになってゆく原田眞人作品、ハマってしまっている。
11. 原田眞人『タフ Part.Ⅱ』
唯一監督が違うせいか色々弱め。
それでもここまでタフ好きになるとこれはこれで欠かせない一編になってる。
12. 原田眞人『タフ Part.III』
再びのタフ!原田眞人の奇才ぶりがこれでもかと味わい尽くせる夢中で観ちゃう今作。
木村一八の変身も、根岸季衣の変化も矢島健一の亡霊っぷりも素晴らしい。
13. 原田眞人『タフPart.Ⅳ』
ついに完。(さみしい)ピザから始まりピザで終わるのでピザーラ食べたくなっちゃう。
フェリーのところのハラハラさに、老眼鏡かけないと装填できないドジっ子警部や、ドンペリシロハタに復活するオミちゃんなどなど、しっかりどこまでも濃密に面白い。
14. 原田眞人『タフPart.Ⅴ』
ついにⅤ配信!わーい!と観たものの、完全なる総集編で眠くなっちゃうやつ。
キャリフォルニアは必要だったのか、謎すぎる。
15. 原田眞人『タフ劇場版 ペインテッド・デザート』
せっかくピザーラ取って楽しみにみたものの、もちろんピザーラ出てこなかった。
タフシリーズ最後と言っても二郎以外出てこないし、何故アメリカ???感は否めず。原田眞人の好きなアメリカ映画のあれこれごった煮。
16. ウディ・アレン『サン・セバスチャンへようこそ』
この時代に私は一生行けなさそうなサン・セバスチャンで文句言いながらもやりたい放題ウディ・アレンしてる。
奥さんスーってまんま?って思ったらスンか。
ブニュエル賞撮るイケすかない野郎ルイ・ガレル♡俺の脳内で展開されるベルイマンに、トリュフォー、ゴダール。
好きなのブレずに年取っても悩んで恋して生きてるな〜。死神のアドバイスのように飽和脂肪酸に気をつけて大腸検査受けておばちゃんも突き進もう〜!
17. イエジー・スコリモフスキー『EO』
プレッソンをイエ爺が現代に調理したなら...冒頭のヴィーガンさんたちのとこからその他出てくる各種の人たちがアイロニーに満ちているのをピュア100%のイオの目で眺める。
ポーランドからスペインまで来て太陽の明るさに、やっと出てきたユペール様に、ラストのテロップのわざとらしさまでなんか流石です。
18. ブリランテ・メンドーサ『ヴァージン・フォレスト』
フィリッピンの山田孝之みたいなカメラマンが森の中の闇を暴く、の図だけど
妖精みたいな女子も売られた子も乳のかたちからしてどうにもプロっぽさあったりでバージン???な社会派。
ローサは密告されたとか良かったけど、これはうーーん。
ドラマ『悪魔のようなあいつ』も2周目を観ていた。ジュリーの現在の時の過ぎゆくままの姿を見てしまうと...ね。
藤竜也と荒木一郎が良すぎる。