Films:Sep.2024『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』ほか
9月にみた映画20本
1. 原田眞人『突入せよ!「あさま山荘」事件』
警察側からの浅間山荘事件。県警と警察庁とのグタグタがメインで山荘内やそちら側の事は一切なし。
それぞれの配役もハマってるしそれなりに緊張感持ってみられる。
そっち側の若松孝二のやつの胸糞悪すぎるあれこれの出来事も含めて、歴史に残る事件すぎる。
2. ジャック・ベッケル『エドワールとキャロリーヌ』
出てきた瞬間からなんかイラッとさせる奥様とピアニストの夫の夫婦喧嘩を延々と。
フレンチなスノッブなサロンの嫌味〜なしょーもない感じの雰囲気も楽しい。
常に夫の方が余裕あるのがまた、ねー。
3. 加藤泰『炎のごとく』
動乱の幕末の大阪、京都で新撰組の影でとことん人間くさくてエエ男な菅原文太!
倍賞美津子はもちろんのこと、女達もみな色っぽくてよい女たち。討ち入りのシーンもああいう目線で撮られるのも新鮮。
佐藤允の近藤勇も格好いいし、国広富之の佐々木愛次郎もいい感じすぎる〜。
4. ペドロ・アルモドバル『オール・アバウト・マイ・マザー』
久々の、そして初めて観たアルモドバル。歳取ってから観るとまた良きかな。
OPの点滴の映像と文字の入り方からお洒落。
様々な女達の立ち場の辛さと、強さの描き方がほんと女への愛溢れている。
劇中の欲望という名の電車やイヴの全てなどへの演劇&映画愛。バルセロナのグラマラスな建築と強い女達。
変態も出てくるけど、アルモドバルにしては弱めでシリアスサイドの作品だけど流石によく出来まくり。
5. 山田洋次『男はつらいよ 純情編』
若尾文子マドンナ回!その前に五島列島の宮本信子も出てきてこちらもまた可愛い。
五島列島いいなぁー。で、ふるさと思い出す寅ちゃん。あややとさくらの並ぶ姿もうるわしく、おっちゃん新旧共演でややこしかったり、てんやわんや。
6. ディーデリク・エビンゲ『孤独のススメ』
バッハしか聴かない敬虔なキリスト信者の男と、謎の男との出会い。
ンーーしか言わないヤギ好きのおっさんとのスイス旅行って、ハイジのユキちゃんちらついちゃう。
少しずつ明かされるそれぞれの事情と、ガチガチの鎧が解けてゆく主人公の見事な解放感とマッターホルン。
息子の事情がああー!っとなる二度目のバーのシーンや、下手したら陳腐になりそうなテーマを絶妙な匙加減で調理しててキュンとして泣ける。
缶に詰めてたリーフパイみたいなやつ食べたい。
7. 成瀬巳喜男『あらくれ』
タイトル通りのあらくれる高峰秀子さま。男運が無いというかこういう運命なのか。
上原謙から森雅之、加東大介はあれだけど、そして仲代達矢とそうそうたる面食い。
あの時代に自分らしく生きるってなかなか出来なかっただろうから、スカッとカッコいい〜!ホースで水ぶちまけるのとか強い。
8. ペネロープ・スフィーリス『ブロークン・ジェネレーション』
高校卒業しても工場勤務しかない未来の今でいうとこのチー牛とか無敵の人みたいな二人のLAへのスプリングブレイカー的な旅。
とにかくさえないし、入るバーすらもわからない田舎もの具合が切ない。
エスカレートしてゆく暴力と冒頭と繋がる白い線。救いようなさすぎる青春でかなしい。
ボンボンワンコが一瞬だけどかわゆさお届けしてくれる。
9. フランソワ・トリュフォー『日曜日が待ち遠しい!』
遺作にしてこの幸せなエンドロール!
小窓から覗く脚、レザーのスカートから伸びるファニー・アルダンの美脚、トリュフォーの脚フェチも爆発。ノワールのハラハラとラブストーリーの穏やかさが同居している絶妙なセンス、映画館にかかるキューブリックのポスター、映画愛に溢れる傑作。
このタイトルを冠した鎌倉のあのカフェももちろん大好き。
10. デヴィッド・ハミルトン『ビリティス』
南仏の女子校生の夏の思い出。思春期の青々しさ、百合もありでなんかもーー満腹でござんす♡
パティ・ダーバンヴィルちゃんが可愛すぎる。アンニュイ過ぎる日々のポワワんとしたデヴィッド・ハミルトンの切り取る美しいエロ絵の世界とフランシス・レイのムーディーな音楽。
謎なオレンジシャツの男マチュー・カリエール♡
11. メーサロシユ・マールタ『アダプション』
43歳で最後の望みで愛人の子を産もうと決意するも反故にされ、木の粉にまみれて働く女と、親に見放された少女との擬似親子みたいな、淡い関係がとても良い。
常に野犬が吠えてるけど、作業小屋のある家いいなぁ〜
12. エルンスト・ルビッチ『ニノチカ』
バリバリの共産党同志からパリに派遣されたグレタ・ガルボのガチガチから恋するまでの変化が可愛い。変な帽子も被るわ。
がっつり共産主義を茶化しまくる。3人組同志達のトルコでのやらかしが愛おしい。
13. クリンスト・イーストウッド『運び屋』
退役軍人クラブの爺さんが運び屋に。すっとぼけてるようで流石の積もった経験と運なのかなんか肝据わりまくってて強い。
ニガーもクィアたちもフツーに差別してスルーすん感じや、ケータイに文句つけつつ文字変換覚えてたりちゃんと生きてる!
中部最高のポークサンド食べたい。
14. ケン・ラッセル『フレンチ・ドレッシング』
ジョルジュ・ドルリューの音楽でトリュフォー、またはタチ的スタイリッシュドタバタ劇in英国ビーチ。
かわゆいチャリンコでなが〜い桟橋走る!BBならぬFFさんのワイルドセクシーと、セーラーにジーンズ&ペタンコ靴なアリタ・ノートンちゃんがナチュラル可愛いすぎる。
15. 黒澤明『八月の狂詩曲』
めちゃくちゃ説教臭いし、リチャード ・ギア出てくりゃガイジンさんに優しい日本人みたいなのは嫌〜ってなるけど、子供たちの格好がまんま自分たちの小学生の頃のリアルすぎるキュロットと、USAスクールのロゴなのもわざとなのかな?
夏のばーちゃんちのあの薄気味悪い感じとか長崎の街の美しさと過去。団塊世代の親達のあの淺ましい感じ。
野薔薇と婆さんの傘とか流石の黒沢印。
16. ジョセフ・フォン・スタンバーグ『上海特急』
兎にも角にもマレーネ・ディートリヒが妖艶美しすぎる。煙草の煙でほわわーんとなる絵なんて素敵だ。
大人なラブストーリーに北京から上海の電車の旅3日間。動乱の中でのミステリアスなアンナ・メイ・ウォンもとても素敵。
ハラハラのなかの癒し、ワッフルズちゃん♡
17. ジミー・T・ムラカミ『風が吹くとき』
ほのぼのした画風とぼんやりした老夫婦が政府のパンフをもとに核ミサイルの準備しているのが気が抜けるほどにのどか。
政府とかの言うこと聞いて、今に救護がくるから、とか脳みそとろけまくってる感じの夫婦がなんとも。
どんな時でも紅茶にミルク入れたい派。トドメの雨水紅茶...
アニメーションと家具などのミニチュアの実写との効果もとても素晴らしい出来。
OPのボウイに劇中、EDのロジャー・ウォータースにと豪華な音楽。
18.ウェス・アンダーソン『アステロイド・シティ』
お得意の入れ子構造と50年代のアメリカの影。
エドワード・ノートン=テネシー ・ウィリアムズで、エイドリアン・ブロディがエリア・カザン、スカヨハがモンローらしい。
作品重ねるごとにウェスの脳内がごちゃごちゃで、うるさく感じるようになってきちゃった。
あの絵作りや完璧なら世界観はもちろん流石ですが、ね。それが先行するインスタ的世界もちょっと...
19.デヴィッド・クローネンバーグ『クライムズ・オブ・ザ・フューチャー』
まぢフューチャーってな感じで独走するクローネンバーグのアート性。流石!
まるでインフルエンサーの行く末みたいなやりすぎ過熱と、人体の進化とカオス。
レア・セドゥもクリステン・スチュワートもとてもハマってる。グロきもいツール達と対象的な衣装はクールでおしゃれ。
痛〜いといいながらも、未知すぎる世界観魅せられるのが気持ち良い体験。
20.アレックス・インファセリ『キューブリックに愛された男』
キューブリックの運転手から始まり全ての雑用をこなすイタリア出身のエミリオさん。
猫の薬割るのとか、大事!と、やたら印象深かった。どこまで本当かわからないけど、彼居ないと制作止まってたりとかなかなかの重要人物。
今度、アイズワイドシャット観ることあれば、おっ!となりそう。ガレージのお宝の山〜!
お気に入りのキューブリック作品はスパルタカスだそう。