Films:Feb2022『ホブスンの婿選び』ほか
2月に観た映画27本。今月も結構いい出会いが多くて楽しめた映画時間。
デヴィッド・リーン『ホブスンの婿選び』は婿選びどころかまんまと...なチャールズ・ロートンの出てくるところから可笑しい。
マンチェスターを舞台に終始嫌味なザ・エゲレス人な父なのにわがままボディを活かした動きが最高にコミカルで天才すぎる。
そしてアル中によりみる幻覚がまた面白い。
月の追いかけっこから、へんてこネズミまで。そして、しっかり夫をデカく仕立て上げつつ立てる長女の手腕は天才的。
笑い泣きで最高傑作すぎる。
ケイリー・ライカート作品観たかったの、ようやく配信!(U_NEXT)ソフト化していないのが残念すぎます。
『リバー・オブ・グラス』は楽しくない方のマイアミで気怠いコージーさん。
30歳という年齢とただただ過ごす日常からの逃避行にもならない、25セント足りなくて高速道路すら抜けられない絶望感。
ラストシーンまで終始漂う閉塞感に死にそうになる90年代の空気。
『オールド・ジョイ』は車の窓各方面からの絵とか、何気ないショットがいちいち感傷的になる。
旅の始まり、ラジオの政治チャンネルからのヨーラーテンゴーで最高にあがっちゃうよね。
何か起きそうで、何も起きないけど確実にある壁と居心地の悪さと旅の終わりの別れ。
それぞれの人生の道が微妙にずれているの同士の迷いまくりのキャンプと、ものすごく整いそうな大自然の温泉。
髭の男、バンドマンっぽいって思ったらボニー・プリンス・ビリーや〜〜!
哀しみは喜びの使い古し=オールドジョイ。サントラはちゃんと買っておりました。
こちらもちびちび観ているマイク・リーの『秘密と嘘』
バラバラな家族の隠していた秘密と嘘が解かれてゆく構成も見応えあり。劇中は役者さんの即興と知ってなるほど、な緊張感と演劇感。
クライマックスなバーベキューパーティーは胃が痛くなるし、とりあえず肉食い過ぎ!
出演者全員クセありすぎるけど母ちゃんがもーすごい。母親のうるさい感じわかりすぎて辛い。
母ちゃん役の年齢と今の自分もダブって、マイク・リーって何かこうホルモン減少期の女性描くの意地悪なほど上手いよね...と裏庭で集う女達見て泣いちゃう。
そしてこちらも大好きアラン・コルノー作品『真夜中の刑事/PYTHON357』
冒頭から銃弾作りながら朝ごはんも作る、イヴ・モンタン。住んでる家もすごく好みな物件&無機質モダーンなインテリアでワクワクしちゃう。
骨太刑事もの期待したらそうはならないアラン・コルノー。三角関係から冤罪被りそうになり、真犯人は上司でふんだりけったり。ハラハラが止まらない!
ジョルジュ ・ドルリューの音楽も現代音楽みたいので素敵。メガネ部下のマチュー・カリエールも麗しいし、いい役どころ。目撃者の猫おばさんが個人的にツボった。
ルクレシア・マルテル『サマ』
リサンドロ・アロンソ『約束の地』とこの2作は開拓ものですが、どちらも斜め上をゆく精神世界描いていてよかったです。約束の地、の音楽まで作っちゃうヴィゴ・モーテンセンの才能にくらっとする。
2月に観た映画27本
1. ジャン・ルノワール『獣人』
2. デヴィッド・リーン『ホブスンの婿選び』
3. 石井輝男『続網走番外地』
4. タルザン&アラブ・ナサール『ガザの美容室』
5. デヴィッド・ゴードン・グリーン『セルフィッシュ・サマー』
6. 相米慎二『夏の庭』
7. ジョン・フォード『モガンボ』
8. アンドレイ・ズビャギンツィエフ『父、帰る』
9. アンドレ・テシネ『海辺のホテルにて』
10. ノーマン・タウログ『カリフォルニア万才』
11. ブルース・ベレスフォード『テンダー・マーシー』
12. ロマン・ポランスキー『水のなかのナイフ』
13. ヴィム・ヴェンダース『世界の果ての鼓動』
14. アラン・コルノー『真夜中の刑事/PYTHON357』
15. ジュリアン・ディヴィヴィエ『悪魔のようなあなた』
16. アンリ=ジョルジュ・クルーゾー『悪魔のような女』
17. ルクレシア・マルテル『サマ』
18. 家城巳代治『異母兄弟』
19. ウェス・オーショスキー『地獄に堕ちた野郎ども』
20. パウロ・モレッリ『シティ・オブ・メン』
21. マイク・リー『秘密と嘘』
22. パトリス・ルコント『仕立て屋の恋』
23. ケイリー・ライカート『リバー・オブ・グラス』未ソフト化
24. ヨハン・ヨハンソン『最後にして最初の人類』
25. ニコラス・ウィンディング・レフン『ブロンソン』
26. ケイリー・ライカート『オールド・ジョイ』未ソフト化
27. リサンドロ・アロンソ『約束の地』