Films:Feb.2025『THE FALLS』ほか

2月に観た映画14本
1. リドリー・スコット『ブラックレイン』
観た気がしていたけど、初体験なこちら。
アンディ・ガルシア絶頂カッコいい。サイボーグみたいな松田優作や英語でも健さんしてて引けを取らない存在感は流石。
富三郎だけ吹き替えに感じたけど。
ライティングや構図が日本でもリドリー・スコットしてる。
煌びやかすぎるオオサカ・ニホンが眩しい時代。
七味かけてうどんすすりたい。
2. マイケル・ラドフォード『イル・ポスティーノ』
天才と天然の出会いと交流。
あまりにも素朴なマリオが詩と出会って人生がキラキラして生きてるー!ってところ素敵。
カプリ島の素朴な漁村の暮らしと風景と忍び寄る社会の混乱、たまたまの出会いで変化したマリオの運命と、再会を果たせなかったパブロ演じるノワレの海岸での表情にグッとくる。
労働者に作るトマトパスタうまそう。
3. アニエス・ヴァルダ『創造物』
ヒィー、恐ろしきクリーチャー。涙。
チェスの盤の目、床、服、とどこも同じ柄になっていたり、細やかなセンスと妄想のゲームのような出来事の数々の奇妙さ。
幸福の次の作品がこれって、アニエスさんの脳内と感性どうなってるんだろう。恐ろしい。
甲殻類苦手なので、カニが怖いこわい。
4. ティント・ブラス『サロン・キティ』
ヘルムート・バーガー× SS×退廃×エロスで、まるでヴィスコンティ観ているような大好物。
みなさまモロ出しまくりで逆にモザイクが卑猥に感じちゃうから、ノー修正で観てみたい。
ラストシーンまでガハハ!ってな具合で楽しすぎる。
女たちのお衣装もメイクも好きすぎる〜!
5. アーサー・ペン『奇跡の人』
こどもの頃やたらと絵本やなんやで散々聞かされたヘレン・ケラー。
こちらだと思ってるよりハードな教育。
甘やかしと哀れみと自らの経験からの重い思いのサリバン先生の熱がすごいし、やっぱりWATER!で感激しちゃう。
6. エットレ・スコーラ『ル・バル』
戦前、戦中、戦後から学生運動にディスコまで。ダンスホールを舞台にセリフなしのとてもロマンティックな映画!
それぞれの男女のドラマが流れるように、まさに人生ってな感じでじーんとした。
その時代ごとのダンスも楽しい。にしても50年代治安悪すぎ〜!
そして80年代のダンスからラストにかけて個の時代の孤独を感じての照明の落るまでが夢みたい。
7. デヴィッド・ハミルトン『愛と追憶のセレナーデ』
ぼわわーんとした画面に少女たちがズラリ。
海辺で出会ってしまった理想の美、ってとこはまるでベニスに死すみたいだけど、こちらはいつくるか...と思っていた除草剤が仕事してくれてから、
盲目からのどさくさで手をつけてしまって、なんかいけあで水ジャブジャブラストまでどこまでも貫いてて潔い性癖!
エンドレスなムード音楽に適当な場面展開にと、投げやりだけどやり切ってる感がすごい。
8. 原田眞人『日本のいちばん長い日』
前回観た時はひでー駄作!って思ったけど、原田眞人ひととおり観てからまた観てみたくなったんだけども、
これはやはり岡本喜八の厚い壁を感じてしまう。
阿南役所や山崎総理の存在感に比べて、松坂少佐だけなんかシュッとして違和感。
原田作品常連の矢島さんが全然わからなかった...
とはいえ、こうした熱をもって守ろうとした日本の現在形がなんとも哀しい。
9. ジャック・ドゥミ『都会のひと部屋』
音楽がミシェル・ルグランでないから個人的にノレなかったけど、U-NEXT配信で初めて観られたこちら。
相変わらずのカラーリングセンス素敵な絵づくりと、全裸毛皮コートなドミニク・サンダ嬢の我儘っぷり好きすぎる。
そして付け髭のせいか胡散臭さマシマシのミシェル・ピコリの存在感と無視されっぷりよ。
10. ピーター・グリーナウェイ『THE FALLS』
長編デビューがこれってのが流石すぎるピーター・グリーナウェイ。
3時間ものVUEレポート(嘘)を観せられる、ヒッチコックへのリスペクトと世の中へのアイロニー、ユーモア、この映像体験がまさにアート作品ですね。
すごいや!
ブラザークエイも出演してる。
11. クリント・イーストウッド『陪審員2番』
バリバリ現役なクリント・イーストウッド爺。陪審員もので、裁判も陪審員2も揺らぎまくる。
正義(キリッ)の名のもとにそれぞれの立場のひとたちの正義の主張が人間くさくて面白い。
スイッチ入る元刑事面倒くさいおじがセッションの人って言われるまで気づかなかった。
12. スティーヴン・スピルバーグ『ジュラシック・パーク』
昔〜テレビで観て以来。安定のジョン・ウィリアムズの音楽とでバーン!と楽しいエンタメしてる。
CGやセキュリティのPC画面に時代を感じる。ローラ・ダーンのサファリなショートパンツ姿。
13.ハミッシュ・リンクレイター&リリー・レイヴ『1984年、ダウンタウンアウル』
どうやら配信のみで終わってしまいそうなので再鑑賞。
1984年前夜のアメリカはノースダコタに色々なものから逃げてきたような40歳のジュリア。
ビッグブラザーに見られているような、全て筒抜けな田舎町での暮らしのなかで何かを待ちつづけていたけど、嵐のあとにようやっと人生歩める1984年!
細かな台詞表現も隅々までクスッとさせられた。
ハミッシュ・リンクレーターといえばThe Futureの印象しかなかったけど、ご夫婦でこんな映画制作しちゃってより好きになったわん。
14. アンソニー・マン『裸の拍車』
男四人女一人。それぞれの過去の傷を抱えながらも密かな野望も見え隠れ。
ひたすらにロッキー山脈を進む地味な感じのロードムーヴィーのようで、食器の奏でる音楽あたりからの展開がドラマチック。
結局女は勝てる男についてくんだね。