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Films: Dec.2023『裁かるゝジャンヌ』ほか

10 January 2024
202312_film

12月に観た映画18本
1. オムニバス『セブンデイズ・イン・ハバナ
寒い日に観る暑い国のオムニバス。
軽く観られて良き。ベニチオ・デル・トロ初監督作や、初めて観たエリア・スレイマンの鬼構図ものや、フリオ・メデムやギャスパー・ノエはそれぞれらしさ満点。
ラストの泉の宗教家族...なんかすごいパワーだし近所にいたブラジルファミリーを思い出す。
2. 鈴木清順『暗黒街の美女
初期清順にして既に渋いノワールしてる。
地下道から始まり、トルコの地下から石炭掘って逃げるラストまでハラハラ、汗かく感じ。
ダイヤの隠し場所が人体からマネキンにいったり、動き回る白木マリさんのボディ含めて魅せ方がさすが。
3. フィリップ・ド・ブロカ『まぼろしの市街戦
大好きなこちら。再鑑賞。
冒頭のドイツ軍にアドルフって出てくるのね。戦争中のパーティー!そして部屋に戻るってのが最高。
ここまで夢みたいに反戦映画作れるの天才や〜。
コクリコちゃん天使。ジャン=クロード・ブリアリの存在感。
4. ニコラス・ローグ『美しき冒険旅行
オーストラリアの大自然で突然の迷子。
目の前の死と、あまりにも強い大自然と、出会うアボリジニーの少年。
言葉は通じなくても旅を通じて知り合ってきた先での求愛の通じなさが哀しすぎる...涙 その先の何も出なかった掘削現場。
文明と自然の対比がニコラス・ローグの映像力とでギュッとくる。
カンガルー肉、いつかは食してみたいな。
5. シャンタル・アケルマン『アンナの出会い
ドイツからパリへ。
地に足つかない、居場所も拠り所もないような孤独なおんなのふわふわ旅路が堪らなくずしーーんってきた。
それぞれ出会う人たちの勝手な話を延々と聞き、ふわーんとしてる感じ、妙齢な時ものすごく感じた居心地の悪さ思い出してヒリヒリ。
パリでの憂鬱気味な男の、歌歌ってーの振りにあのエディット・ピアフの"Les amants d’un jour"歌詞よ。
極め付けのヴェポラップマッサージの尻弄りで泣いちゃう。
留守番電話のラストまでどこまでも素晴らしい。
6. シャンタル・アケルマン『街をぶっ飛ばせ
こんなにも迸る初期衝動と花束と死。
調子はずれの鼻歌やにゃん子はちゃんと逃して、パスタ食べて、掃除して。
すでに確立してるし、ご本人も可愛いんだよねぇ。パンクしてる!好き。
7. シャンタル・アケルマン『一晩中
ブリュッセルのある夏の夜のそれぞれの瞬間、抱擁、別離。どこまでが演出なのか、偶然なのかわからないけど瞬間、瞬間の物音や電気のオンオフ、窓の開閉、生活のあれこれの描写が細かすぎてグッとくる。
夜が明けると溢れる哀しさ、寂しさ。大きくなってゆく車の音。
あんなキュンとするダンスシーンはなかなかない。
今回もちゃんと少女とニャンコ出てくるのも好き
8. シャンタル・アケルマン『家からの手紙
70年代のNYをただひたすら。固定した地下鉄から少しずつ動きだして、ラストの船から遠ざかり眺めるワールドトレードセンターなどのビル群の景色。
そこにのっかる母ちゃんの手紙。段々とその朗読の声も薄れてゆく、なんて感傷的。
異国の地にポツンとひとり旅立った孤独感を思い出した。
9. シャンタル・アケルマン『ゴールデン・エイティーズ
カラフルな足元OPからして今まで観てきたアケルマンと様子が違くてびっくり。
デルフィーヌ・セイリグとシャルル・デネル出てくるだけでフレンチ♡当時はイケてたのかな?な感じのフォーラム・デ・アールを舞台にミュージカル仕立て。
ハッピーエンドにならずに戦後の混乱で叶わぬ愛とと80年代の若者の叶わぬ愛とを重ねて、地上に上がりシャンゼリゼ?に立つ三人の姿が眩しい。(自然光)
アニエス・ヴァルダっぽいな,と思っていたアケルマンがジャック・ドゥミになった一本♡
10. シャンタル・アケルマン『アメリカン・ストーリーズ
ふたたびの船からのNYからの幕開け。ポーランド系ユダヤ人達の移民ストーリーを語らせる。
自虐ネタ、ブラックネタが多くなるのはユダヤ人あるあるなのかな。
後半の青空レストランみたいなとこのシーンもどれも印象的。
ラストのモーゼに道案内出来ない人々とおじいちゃんの肉屋ジョークと、どこまでもブラック。画面はカラフル。
11. 木下恵介『花咲く港
あまりにも胡散臭すぎる小沢栄太郎と、爽やかイケメンが過ぎる上原謙サマの凸凹な詐欺師とあったか過ぎる南国の島の人々。
ドタバタから突然の鬼畜米英、赤鬼!とか今みると笑っちゃうほどわざとらしいやつも、そしてラストの下りまでも上手いさすがの木下惠介。
12. ピーター・メダック『チェンジリング
なかなかにハードスタイルな事故物件。
一人暮らしにあの物件住めるのはとても羨ましいけど、牧場跡地の湖畔沿いの物件もとても素敵〜!そしてまた事故物件。
わがまますぎな霊と戦うジョージ・C・スコット。不動産会社のあるビルとバルコニーもとても素敵〜。
13. 溝口健二『武蔵野夫人
戦後の武蔵野で繰り広げられるドロドロ。
田中絹代サマだけ頑張って守り続ける貞操...死を持って守るワ!というあんまりにも哀しいご臨終。
14. ジャン=ピエール・ジュネ『デリカテッセン
懐かしの。90年代の黄〜赤な色味と、ダークファンタジー&ディストピアな雰囲気で、いま改めてみても綿密に世界観構築されてるし、ジャン=ピエール・ジュネすでに出来上がってる。
癖強役者揃いでも群を抜いてドミニク・ピノンのピエロ挟み込まれると怖っ!夢に出てきそう。
15. マーク・ライデル『11人のカウボーイ
まさにカウ"ボーイズ"成長記。
前半の割とのんびり感からの、ジョン・ウェインあっさり死んでからの少年達の眼差しの変化に、ジョン・ウィリアムズの音楽とで胸熱。料理番長のガチウエスタン料理の数々もたまらん。
死はどこでもやってくる。いつでもっていう、死がとても近い時代の言葉も重い。
16. ジェームズ・アイヴォリー『モーリス
英国パブリックスクール腐女子的なのを欲して。
プリっとしているヒュー・グラントと、いかにも英国顔なジェームズ・ウィルビーのプラトニックラブから、まだ罪深すぎた時代で別々の道を行く二人の分かれ道と、ラストの場面まで切ない〜。
ヒュー・グラントの嫁役にブライヅヘッドのフィービー・ニコルズ出てた。
17. カール・テオドア・ドライヤー『裁かるゝジャンヌ
ファルコネッティ嬢の目、表情、涙、全てが美しい。
異端審問の顔、聖職者の顔、民衆の顔、とにかく顔のアップに、部屋や道具のアップ、切り取られる画面。
冷たい質感の教会内部の白っぽいところから、火刑の黒く燻りやがて燃え盛るラストまでの対比。モノクロだからこその美しさが際立つ美しくも激しい芸術だー。
ゴダールのあのシーンまた観たくなった。
18. アラン・コルノー『セリ・ノワール
2023年ラスト映画は大好きなこちらで〆!
OPいきなり一人寸劇みたいのからはじまって既に感動。ほとんど喋らないトランティニャン娘っ子が口元そっくり!そして惑わす美ロリータ感がいいです。
パリの外れの冴えないセールスマンの既に壊れ気味だけど、どんどんと崩れてゆく壊れっぷりが見事で惚れ惚れするパトリック・ドヴェールの演技。

Category: カフェ

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2024.01.10 11:00 AM