Films: Oct.2023『キングダム エクソダス』ほか
10月にみた映画15本
1. ラース・フォン・トリアー『キングダム エクソダス』
まさかの完結編!涙。
久しぶりにテレビドラマ版から観返してからいざ!
ヘルマー亡きあとのヘルマJr.や、ドルッセ夫人の代わりのようなカレンさん、ミケルセン兄のキャラ、ブルーザー(渾名!)そして悪魔的ウィレム・デフォーなどなど、見事な新キャラ導入して更に旧キャラ達もしっかりと。
病院入った途端にオレンジ色の画面に変わるところから最高。フェミやら人種やら、全シリーズからのデンマークvsスウェーデンをさらに上にあらゆる憎悪と対立含めて、ブラックにホラーに描き上げちゃったトリアーはやはり格が違う。
名作や自作のパロディまでも楽しませてくれてありがとう!EDの靴だけ出演まで愛おしい。
旧作復習からのどっぷり、キングダムの世界に沼にハマって抜け出すのが寂しい。
2. ミランダ・ジュライ『さよなら、私のロンリー』
再鑑賞。まさかの未公開なうえに、ソフトも販売なしというこの扱い...
ミランダ・ジュライの感性と細かすぎる視点と繊細すぎる表現は特別。
3. 出崎統『スペースアドベンチャー コブラ』
TVアニメ観始めたのだけど、こちらの方が先だそうなので。
出崎ワークス辿ってるこの頃。
野沢那智さんの声がハマりすぎてたせいか、松崎しげる声が気になりすぎたけど段々と馴染んでくる。とにかく出崎統クオリティが半端ない!
まさに大人のアニメ。女たちも肉感あるええ女たち、演出も言葉少なめのかっこよさ。漫画を読んだことないけど気になる!
4. マリオ・パーヴァ『ラビッド・ドッグズ』
OPから楽しみ。ドジっ子過ぎる現行犯達の失敗の予感しかしないドライブと、ドライバーのおじさんの子供の訳あり感からのラスト。
最後の闖入おしゃべりおばさんのキャラ濃すぎ!水分補給はぶどうで!
5. デヴィッド・リンチ『ブルー・ベルベット』
なんとなく、久しぶりのリンチ作品。
改めて観ても導入からして素晴らしすぎるし、シーンの切り取りからカット、セリフにライティングに音楽の使い方、不穏な音、どこまでもセンス溢れすぎてて楽しすぎる。
ぷりぷりのカイル・マクラクランにローラ・ダーンのキラキラに、デニス・ホッパーの無茶苦茶サイコ野郎の謎フェチ具合に痺れる。
6. 山本薩夫『白い巨塔』
最近「キングダム」を観てなんとなく大学病院ものづいている我が家。
こちらは浪速の悪どい大きな力。眉間に力入りまくりのTJw田宮二郎も周りを固める権力者たちの嫌らしさ全開。小川真由美もぴったりいい感じの夜の女〜
7. ピエル・パオロ・パゾリーニ『テオレマ』
だいぶ前にエルメスで観て以来の4K!
テレンス・スタンプがやってきて崩壊するブルジョワジー一家と奇跡を起こす家政婦。ふわ〜ごろりんと郵便配達してくるニネット・ダヴォリきゅんが一番天使ちゃん♡シルヴァーナ・マンガーナがいるだけでブルジョワっぽいし、アンナ・ヴィアゼムスキーがいるだけでなんとなく赤い感じがしちゃう。
繰り返されるモーツァルトのレクイエムとモリコーネ曲の旋律、どの風景も決まりまくってる美しさ。工事現場で涙を溜める絵は泣ける。
8. 山本暎一『哀しみのベラドンナ』
再鑑賞。何度観てもその鬼クオリティとセンスにクラクラ。
9. 長谷部安春『あしたのジョー』
石橋正次のジョーは結構いい感じ。力石と葉子さんは???っと、似ていなさすぎて超弱そう。
とてもタイトに纏められるけどらそれなりにあしたのジョーしてた。
10. アレックス・プロヤス『スピリッツ・オブ・ジ・エアー』
オーストラリアの荒野のディストピアの世界に降り立ち飛び立つ男と飛び立てない不遇の兄妹。
ごちゃごちゃの家の雰囲気も、イッモのメイクも、パルコのCM的オシャレさで良き。飛行機浪漫はジブリにも通じる男のロマンと不器用さもありグッとくる。
11. リチャード・ドナー『おませなツインキー』
ミニスカ60sJKのブリティッシュなスタイルで楽しそうなOP!JKに翻弄されるチャールズ・ブロンソン。ロンドンの頭ぶつけそうな玄関のアパートも、ブルックリンの100ドルの景色良すぎなアパートもインテリアも素敵ぃー!
黒猫マウスちゃんもデカくてかわゆい。肝心のツインキーちゃんがあまりに勝手すぎてついてけない〜
12. ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー『ペトラ・フォン・カントの苦い涙』
ペトラの寝室で繰り広げられる女と女の愛憎。
愛されたい、支配したい、母と子の関係、目撃者のようなマレーネの視線やタイプライターの音、それぞれの立ち位置での表現やライティング、インテリア、衣装までどこまでも最高。
オゾンがリメイクしたのも観てみたい。
13. 黒澤明『まあだだよ』
黒澤明遺作、おいちゃんの内田百閒先生がハマりすぎてて最早どの風景も人々もファンタジーな昭和の暮らしと人々の優しい世界。
ご隠居して焼け野原後の男爵邸の小屋でまるで方丈記してるのも、その後の三畳御殿に禁客寺な離れもいいなぁ。
何よりもノラのエピソードが、我が家の猫を亡くしたばかりだったので重なって涙が止まらぬ...。
風呂桶の上の布団にキュっとなるわ。教え子達との関係やなにより内田百閒の人となりをじんわり感じられる、まさに円熟された映画。
14. ジョルジュ・ロートネル『渚の果てにこの愛を』
モアの翌年のミムジー・ファーマーということで、サイケげな音楽と砂漠の中の白いポツンと白い家でこちらはメキシコ。
わー、住みたーい!な物件だけど、どう観ても怪しすぎる母と娘。
15. ミヒャエル・ハネケ『白いリボン』
10年ぶりくらい三度目の鑑賞。どんだけ好きよ、ハネケ!
大戦前夜の厳格な領主のもと、ピリピリに張り詰められた人々の神経とどす黒いものとを冷え冷えとしたモノクロ画面で描く。唯一の良心のようなふんわり眼鏡先生が救い。
ファニー・ゲームでお馴染みのズザンネ・ロータさんの悲壮顔がまたすごい。こんなに胃が痛くなるのをよく撮れるなぁ、と毎度感動しちゃう。