Films: Sep.2023『夕陽のガンマン』ほか
9月にみた映画17本
1. マリオ・バーヴァ『知りすぎた少女』
空港に降り立つ前から受難まくるレティシア・ロマン嬢。ヘビ皮コートやワンピに、お衣装も素敵!
モノクロの画面の妄想系サスペンスは短いのに割と長さ感じてしまったけど、絵面はとても良かった。洗濯場の彫刻群とかいいなー。
そしてオチ!あのタバコ、降ってきたら嬉しいかも☺️
2. リューベン・オストルンド『逆転のトライアングル』
スクエアの次がトライアングルで楽しみにしていたこちら。
期待を裏切らない嫌〜〜〜な気分にさせる連発で流石やわ。
バレンシアガ/H&Mのジャブから始まり(わんこ♡)SNSフォロワー数からサバイバル力に力関係変わるとこ、我らがウディ・ハレルソンがなかなか声だけで出てこないし、出てきてからの最悪な展開、
プッシャーのミロのオッサンがオリガルヒ役ハマりすぎてて最高なうえに、こちらまで酔いそうな低気圧の最中の船長ディナー、そして汚物ぶちまけ大会と、どこまでも酷良い。
3. 池広一夫『松本清張の殺人行おくのほそ道』(未ソフト化)
4. ダニエル・シュミット『ヘカテ』
時代の移り変わりと、北アフリカの地に赴任した男の理想のままの遊びの恋愛のはずがズブズブに自分でハマってゆくのが砂漠の地の風景と、建物、音楽にと官能的に美しい。
男のリネンのスーツや女のシルクのドレスに浮かぶ乳首!エロ〜〜!
5. セルジオ・レオーネ『夕陽のガンマン』
格別のカッコ良さ。OPのテロップからものすごい頑張ってるし、モリコーネのところの主張が強い。
そんなモリコーネの音楽も何度聴いても流れても沁みるし、懐中時計のメロディとエピソードも素晴らしい!
6. セルジオ・レオーネ『続・夕陽のガンマン』
お久しぶりのこちら。ちょー適当な邦題をぶった斬るように、キレキレまくりの今作。改めて観ると卑劣漢トゥコさんのキャラと演技の素晴らしさに感動しちゃう。
南北戦争に紛れながらのラストへ向かい、有名すぎる三つ巴決闘シーンの緊張感とモリコーネ音楽、ゾクゾクしちゃう。
7. トッド・フィールド『TAR』
ベルリンフィル主席指揮者のケイト・ブランシェットは超絶イケメン。メイクも衣装もカッコよく振り切っててビジュは好みすぎる!
舞台はクラシック音楽の世界なれど、思ったほど、どっぷりその世界ってかんじでもなく、どちらかというとキャンセルカルチャーとジェンダーのあれこれな現代の成れの果てのような地獄。
行き着く先のアジアとか、ちょいちょい甘いような気もするけど。
ヴィスコンティとは違うアダージェットをもっと聴いてみたかったな。
8. 市川崑『プーサン』
新聞の風刺漫画がベースだそうで、戦後のPTSDに悩まされる伊藤雄之助のやさ男の踏んだり蹴ったりしょんぼり役が上手い。
渋谷桜丘も新大久保もまた田舎みたいで、のどか。ナース八千草薫が天使すぎる。
9. 今敏『パプリカ』
大ファンな今敏監督、ノリにのりまくりで好きすぎる作品。妄想代理人も配信していて見返してこちらも。
筒井康隆原作をさらに上げまくるこのアニメーションセンスは国宝ですね。
夢の行き来、悪夢、気が狂う描写、沈み込む奥行き、さらに平沢進音楽とでどこまでも気持ち悪良い体験。今敏を超えられる監督ってもう居ないのかな。
10. ヴァリレオ・ズルリーニ『カバンを持った女』
キラキラのジャック・ペランの世間知らずな坊ちゃまと、したたかなスレっからし女との淡い恋。
こうしていくしか生きる術がない感じのクラウディア・カルディナーレの自我とこれが人生って感じが切ない。
11. 成瀬巳喜男『妻』
林芙美子劇場で、高峰三枝子妻のやさぐれがすぎる。
生活の合間に見せるガサツで手抜きがちな女の油断がリアルすぎて、あんなふうに上原謙様のような夫に冷ややかに見られてしまったらと思うとタヒぬわ。
お土産の天ぷらや愚痴りながらのお寿司ランチなどなど美味しそうな昭和グルメだけが救い。
芸大生・三國連太郎のゆるさも良き。
12. ポール・ヴァーホーヴェン『ショーガール』
弱肉強食で流れ着いたベガスでのしあガールな踊り子さん。ダンスが激しいはげしかい。乳首立たすのも大変!
玄米よりでかいバーガー食べたくなっちゃう。
13. ニック・モラン『クリエイション・ストーリーズ』
予想はしていたけど、予想通りな。制作総指揮ダニー・ボイルでドラッグ方面強めな仕上がりで、仕方ないにしてもみんな似てない〜!ボビーとか似てなさすぎ!そしてマイブラの扱い...
とはいってもすごい濃ゆい時代と場所のシーンなのは憧れで、その時代に行ってみたいなー。バキバキおマンチェ楽しそうすぎる。
14. ヤロミール・イレシュ『闇のバイブル 聖少女の詩』
定期的に鑑賞。
チェコのゴシックガーリィィィ!夢のような映画。少女に吸血鬼に魔女に悪魔、旅芸人、お兄様。耽美な、好きな要素てんこ盛り祭りだわ!
内容はよくある伝統的な話だけども、このイメージの数々に血を吸う吸血鬼の如くおばさんは、生き生きとしてきちゃう。
15. フェデリコ・フェリーニ『甘い生活』
OPのキリストの飛ぶ姿からして最高のシーン。どれもこれも切り取るシーンが美しすぎる!そんななかでの享楽と退廃な日々。
グラマラスな極みすぎてこれはこの地、この面子でなくては成り立たない。マルチェロヤン兄のあの悪ふざけ表情が最高に好きよ。
真に美しい、純粋なものは手が届かずそれでも生きていかにゃならない人々よ。ラストシーンまで最高級。
16. マイケル・ラドフォード『トレヴィの泉で2度目の恋を』
暴走する老害ばかりの世の中だけど、この映画のなかのシャーリー・マクレーンとクララストファー・プラマーならば...と、マイケル・ラドフォードの手腕で素敵な物語に。
シャーリー・マクレーンはおばあちゃんになってもキュート過ぎる!ハロルドとモードを彷彿させるぶっとびBBAに憧れちゃうわ〜。
元ネタのスペインの方も観てみたい。
17. ライナル・サルネ『ノベンバー』
この映画の存在を知ってから好きな要素しかないので楽しみにしていてようやくの鑑賞。
アニミズムに魔女にとドロドロしたもの渦巻く世界だけど、映像はモノクロの美しい世界。
白く浮かぶ伯爵令嬢や雪だるまのクラットの語る話、水に関する描写の美しさの合間に挟まれる、媚薬のウン◯パンや、尻、クラットや疫病の雄叫び、ヘンテコなユルさ。
どこまでもグイグイ持ってかれる世界観!そして行き交う黒と白の馬車のシーンが美しすぎて泣いちゃう。
ドローンアンビエントな音楽も♡
伯爵のあのお顔、どこかで...と思ったらムカデ人間の人か!