Films:Jul.2021『バージニア・ウルフなんかこわくない』ほか

7月に見た映画22本まとめ
暑くてもオリンピックでも、我が家は変わらず映画の日々です。
どっか行きた〜〜いとかなるけど、まだまだ先のことになりそうですね。
お店は11日(水)から17日(火)の間夏休みを頂きます。どうぞよろしくおねがいいたします。
なんとなく最近はエリザベス・テイラー祭り。
キョーレツだったのが、マイク・ニコルズ『バージニア・ウルフなんかこわくない』
冒頭から嫌な予感しかしない夫婦の毒っ気だらけの会話(おもに妻)と汚部屋。夜中の2時から始まる若夫婦とのカオスなパーティーは絶対呼ばれたくないやつ。
連れ添ってきた夫婦の暗黙なルールとゲーム、最大限に爆発して夜明けのラストでしんみり。
エリザベス・テイラーの鬼演技とリチャード・バートンの毛玉だらけのカーディガンとくたびれ感に萌え。バージニア・ウルフは全然関係ない。
一転、まじ天使な出世作、クラレンス・ブラウン『緑園の天使』
馬に夢中(弟は蟻に夢中)な不思議ちゃんを見守るお母さんの強さと優しさが素敵すぎる純文学作品で安心安全PTAもおすすめしそうな健全さ。
ほぼセットだしアメリカ製作らしいけど英国のノリもすき♡男のフリする断髪したエリザベス・テイラーも麗しい。
そんな天使作品から二度目のアカデミー賞を受賞した『バージニアウルフ〜』まで流石の神に選ばれし美しさだけではない女優魂に惚れ惚れ。紫の瞳だなんて、素敵すぎやしませんか?
フレッド・ジンネマン『山河遥かなり』も
感動の大作。
Aはアウシュビッツのエーと腕に刻まれた声の出せなくなった少年とアメリカ兵との出会い。大人の都合で一番の弱者である子ども達の受けたダメージの計り知れなさ、本当の瓦礫の山で撮ったという戦後のドイツの姿をアメリカ人が撮るというえげつない感じもあるけど。そして孤児を拾い不器用に接しつつもその不器用さとまっすぐさで少年の心を開くイケメンアメリカ兵、モンゴメリー・クリフト!完璧すぎるで〜
母と子の再会のシーンの演出がこりゃもう、ってな具合で泣いた。わたしも孤児になったらモンゴメリー・クリフトに拾われたいです。
大好きペドロ・アルモドバル『ペイン・アンド・グローリー』バンデラスがアルモドバルの半自伝的作の役って違和感無さすぎるキャスティング。
アルモドバルの私服や自宅を再現しているらしいけど、お洒落鬼センスすぎてため息もの。そんな洒落部屋でも、真っ白な洞窟の子ども時代の家でも影な部分が印象的で、避けられない老いとマンマと思いでとで織りなしてからのラストのペネロペから繋がるオープニングまで完璧。
まさに監督の円熟を感じさせる大人な一本。"目覚め"させるスペインのアダム・ドライバーみたいなセザール・ビセンテ君の肉体美も必見!
ギャスパー・ノエ『ルクス・エテルナ永遠の光』
シャルロット・ゲンスブールとベアトリス・ダルって御二方がいるだけで嫌な予感しかないし、ギャスパー・ノエってだけで何がやばい事が起きそうなのは必須。
ドストエフスキーのてんかんのエピソードからのチカチカでずっと観ていたらそうなるんじゃないか、っていう怖さ。
芸術性を突き詰める監督の貪欲さと娯楽映画へのアンチテーゼ満載で攻めてる。
前作の『クライマックス』もたいがいだったけど、ドラッギーとか飛び越えてきてカオスへの挑戦って感じでスンバラシイ〜。
ルクス・エテルナってことで本当にキューブリックが好きなのね。その他の音楽も鉄板のセレクションです。
エディ・スリマン後のサンローランを担うアンソニー・ヴァカレロとのアートプロジェクトの一環だそうで、お衣装も素敵〜
2021年夏のサンローランの。こちらも監督していてまんまな世界なんだけど、シャーロット・ランプリング様のハク。やっぱり魔女感あって好き。
中原俊『櫻の園』まぁ、何とも青く儚くあまずっぺぇ。
チェーホフにショパンに、携帯とか加工メイクとかない時代の素朴(すぎる)な眉毛ボーボーなJKが眩しい。眩しすぎる。
女子校育ちだけどこういう真っ当な青春と女子校みたいなのは記憶にないんだけど、ちょっとした細かいところにふわっと蘇るあの頃の感触がうまいなーと、オバサンになったから美化して図々しく思い出してみちゃうわぁ。
吉田秋生は読んだことないので、読んでみよーと思いますた。
1. フレッド・ジンネマン『尼僧物語』
2. 降旗康男『捨て身のならず者』
3. 大林宣彦『廃市』
4. マイク・ニコルズ『バージニア・ウルフなんかこわくない』
5. 篠田正浩『乾いた湖』
6. ジェームズ・クラヴェル『いつも心に太陽を』
7. ジョージ・スティーヴンス『ジャイアンツ』
8. フェデリコ・フェリーニ『カビリアの夜』
9. クラレンス・ブラウン『緑園の天使』
10. J.L.ゴダール『メイド・イン・USA』
11. 中原俊『櫻の園』
12. クエンティン・タランティーノ『デスプルーフinグラインドハウス』
13. ロバート・アルトマン『ビッグ・アメリカン』
14. D.W.グリフィス『散りゆく花』
15. スティーヴン・スピルバーグ『1941』
16. フレッド・ジンネマン『山河遥かなり』
17. ペドロ・アルモドバル『ペイン・アンド・グローリー』
18. ジム・ジャームッシュ『デッド・ドント・ダイ』
19. オムニバス『パリジェンヌ』
20. ギャスパー・ノエ『ルクス・エテルナ永遠の光』
21. 山田洋次『男はつらいよ お帰り 寅さん』
22. ドミニク・アベル&フィオナ・ゴードン『ロスト・イン・パリ』