Films:Apr.2022『エル・プラネタ』ほか
4月にみた映画25本を振り返り。
観たいみたい、と思っていたらありがとうU-NEXTな『プッシャー』トリロジー!
ニコラス・ウィンディング・レフンデビュー作かつ、マッツ・ミケルセンもデビュー作でもあるデンマークDQNな『プッシャー』ださジャージにRESPECTな頭タトゥー姿サイコーなみんなすでに脳みそ溶け気味で武勇伝や会話が楽しい。クラブや夜の色味やバイオレンスの具合はすでに出来上がっりつつも初期衝動な荒さが個人的にやっぱり好きな作品。
『プッシャー2』は"RESPECT"の頭に、記憶力に問題あるって言われた相手も忘れちゃう残念すぎるマッツ。さらに父親にも見放され、ジャンキー仲間達にもクズ扱いされ、何故か息子も現れうまく行かなすぎる挙句の...
みなさんのお粉の量がハンパない脳みそ溶けまくりなマッツの演技に音の入り方に完全にレフンしててキッチュな北欧エレクトロでたまらんです。
で、ラストの『プッシャー3』は、麻薬王ミロの災難な1日。
積み上げられる嫌なこと、からの薬物解禁!解体作業!と流れる様はお見事。で、足洗った元仲間の手際の良さが一番怖い。夜明けのカラカラのプールサイドまでどこまでも枯れてる。
ミロの作るサルマ、怖いけどサルマはぜひ食べてみたい。イスラム教徒にローストポークのおもてなしするのとか酷い。
三部作で監督の成長ぶりもしっかり刻まれたレフン作品。
エルンスト・ルビッチ『街角 桃色の店』
邦題だと何やら怪しいお店みたいだけど。冒頭の従業員が集まってくるところの会話から楽しさ溢れてる。クリスマス前の浮かれモードと私書箱での文通から始まる恋とで先は見えていてもしっかり楽しい。周りのキャラもみんないい。
意地でもオルゴール付きシガレットケース要らないジェームズ・スチュワートの意地とどこまでも楽しいよきクリスマス映画。
ルネ・クレール『夜ごとの美女』
悩める音楽家ジェラール・フィリップが麗しすぎる。昔は良かったっていうのがエンドレスで続く夢ってことで、『ミッドナイト・イン・パリ』の元ネタかな。
フランス史を遡りーの、段々と様子がおかしくなった先のオペラ座での演奏会とか前衛だわ〜!で、元に戻る時の馬が逆なのとか細やかなおとぼけやハリボテな夢のなかも好き。
岡本喜八の暗黒街シリーズなど続々上がっていてありがたや~な配信時代。
冒頭のショットからかっちょいい。
『暗黒街の顔役』鶴田浩二と宝田明の顔面区別がつかず、さらに平田昭彦でてきて混乱。こういう顔が流行っていたの?出てきた瞬間から作業服からダダ漏れる渋さの三船敏郎と殺し屋佐藤允の存在感!若き天本英世も個人的に一番かっこいい〜。ロケーション選びから切り取る絵面がかっこいい〜!
『暗黒街の対決』は、ダンサーの乳からはじまりトレンチ姿もキマっている三船敏郎!鶴田浩二との友情も熱いけど、殺し屋天本英世たちとミッキーカーチスの口パクお歌シーンが最高。
『大学の山賊たち』は『終』からはじまるポップさ!
テンポ良すぎてよくもまぁここまで詰め込められるのだなーと楽しすぎる作品。レジャー開発が始まるのかと思いきや幽霊の夫とすむ可愛いすぎなオトボケ越路吹雪サマに、脱走犯人に南国の王子にとむちゃくちゃ。これが映画デビューだという山崎努が毒っけなさすぎて爽やかすぎてピチピチ。上原謙さまの山スタイルもエレガントで素敵〜
『暗黒街の弾痕』これは星5個じゃ足りないやつ!
キレまくるかっとと演出の嵐の73分。
”暗黒街の顔役”のバーでもあったお歌シーンや撃たれた佐藤允の時他のライティング、捕鯨ネタや大活躍のミッキーにと一切飽きさせない楽しさ。お正月映画の謹賀新年なサービスまで粋です。
アマリア・ウルマン『エル・プラネタ』は前情報全くなしで観たのですが、スペインのミランダ・ジュライかレナ・ダナムのような才能ほとばしる作品。
OPシーンからだだもれる、主演もする彼女のファッションもおしゃん〜!と思ったらセントマ出身のようでなるほど。
しょんぼりな出来事の連続の果てに"LOVE PENGUIN"のファンシーなタオルみて私たちも号泣するわ。SNSや貧困、高齢化、フェミニズムにと原題の悩ましいところを上手いこと表現している才能は今後も追っかけるわ!
EDロールにハル・ハートリーにミランダ・ジュライ出てて納得。ミランダの最近作も貧困家庭だったしね。
何度も見返しす大好きな映画たち、だけどどちらも種類は違えど胃が痛くなるタイプなので万人にはお勧めできませんが...
ミヒャエル・ハネケ『ファニー・ゲーム』
もう二度と観ない気もしていたけど観ちゃうやつ。
OPのヘンデル→ジョン・ゾーンなところから冴えまくるハネケ。初期三部作からの今作まで、よくもまぁやるわよね。
胸糞すぎる内容をフィクションです、と白服の彼にこっち向いて言わせて、ご丁寧この上ないうえにある意味お上品で、残酷で救いのないフィルム。
胃が痛くなるから何度も観たくなるわけではないけどやっぱり好きな作品。
ナオミ・ワッツやマイケル・ピットも出ている”USA版”もそのまんまアメリカになっただけでこちらもいいのですがやっぱりオリジナルの方がエグみが強くて好きです。
ジョン・カサヴェテス『こわれゆく女』こわれゆく、というよりすでに壊れている...ジーナ・ローランズよりピーター・フォークの混乱っぷりと気の利かなさやばい。
あーゆー夫だったら私も壊れそう。
観ていて胃が痛くなるの必須。でも、周りにどう思われようがその家族の愛のかたちや在り方はそれぞれ、で壊れてもなんとか生きてこーぜー。な生々しい生活感がどえらい映画の流石なジョン・カサヴェテス。スパゲティ!
4月にみた映画25本
1. 新藤兼人『午後の遺言状』
2. S.R.ビンドラー『サーファーのプライド』
3. 蔵原惟繕『南極物語』
4. ケリー・ライカート『ナイトスリーパーズ』
5. 岡本喜八『暗黒街の顔役』
6. ジム・エイブラハムズ『悲しみよさようなら』
7. 黒澤明『白痴』
8. ニコラス・ウィンディング・レフン『プッシャー』
9. ニコラス・ウィンディング・レフン『プッシャー2』
10. ニコラス・ウィンディング・レフン『プッシャー3』
11. 吉田憲二『鴎よ、きらめく海を見たか めぐり逢い』
12. ウディ・アレン『カイロの紫のバラ』
13. アジョイ・ボズ『ビートルズとインド』
14. エルンスト・ルビッチ『街角 桃色の店』
15. 岡本喜八『大学の山賊たち』
16. ポール・トーマス・アンダーソン『ハード・エイト』
17. ミヒャエル・ハネケ『ファニー・ゲーム』
18. 岡本喜八『暗黒街の対決』
19. ルネ・クレール『夜ごとの美女』
20. 今村昌平『復讐するは我にあり』
21. 岡本喜八『暗黒街の弾痕』
22. ジョン・カサヴェテス『こわれゆく女』
23. 野村芳太郎『配達されない三通の手紙』
24. ペドロ・アルモドバル『神経衰弱ぎりぎりの女たち』
25. アマリア・ウルマン『エル・プラネタ』