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Films:Jan2022『セリ・ノワール』ほか

03 February 2022
202201_Movie

1月にみた映画31本を座ざんとおまとめ。
毎年お正月は大好きな映画を見返すのですが今年の1本めは
ハル・ハートリー『トラスト・ミー
孤独を埋め合わすパズルのようにピッタリ出会った二人。
やさぐれたマシューを癒やすかのような聖母なマリアのギャルが俺の爆弾を処理してくれる。からのラストシーンは絶対泣いちゃう。
CDはすごいぞーって言っている90年のマーティン・ドノヴァンにかびることを教えてあげたい。

ブレイク・エドワーズ『テン』と『ビクター/ビクトリア
『テン』は眩しいばかりのハリウッドの生活のなかでのミドルクライシス。
厄年か!ってなほどにうんざりさせられる災難からの女神発見で猛進する中年男性の哀しみ。ふわっとでてくる小さな声とかリアルで笑っちゃう。
どしんと構えたジュリー・アンドリュースの女の格好よさと懐の広さ。憧れます。
望遠鏡や"ボレロ"の使い方最高。エンドロールの入り方まで洒落てて文句の付け所なさすぎ。
ヘンリー・マンシーニの音楽までリッチな時代の輝きマシマシで良すぎなのでLP探して思わず買ってしまった〜!
『ビクター/ビクトリア』はニセモノのパリ黄金時代で繰り広げられるドタバタ劇。
女で売れないなら男で売ればいいじゃない!と女装の男性のふりをする女性を演じるジュリー・アンドリュースの凛々しくて格好良くって男でも女でもどっちでもいいゃ、好き♡ってなるのわかる。
ブレイク・エドワーズのおとぼけなコミカルさとでどこまでも笑えて泣ける。元ネタの「カルメン狂想曲」もぜひ観てみたい。

アラン・コルノー『セリ・ノワール』と
めぐり逢う朝
『セリ・ノワール』OPいきなり一人寸劇みたいのからはじまって既に感動。ほとんど喋らないトランティニャンの娘っ子が口元そっくり!
そして惑わす美ロリータ感がいいです。
パリの外れの冴えないセールスマンの既に壊れ気味だけど、どんどんと崩れてゆく壊れっぷりが見事で惚れ惚れするパトリック・ドヴェールの演技と
全てが最高でした。
『めぐり逢う朝』は俗世の音楽なぞ作らぬ!と隠遁暮らしをする生粋な音楽家とその弟子。
禅問答のようなやりとりと、天才かつストイックなまでの美への探求のもとで生まれる芸術の紡がれる美しさを映像化しようとしたアラン・コルノーの気合い。
17世紀フランス貴族の裏側の素朴でストイックな暮らしがたまりませぬ。ヨックモックみたいなクレープ菓子?がポイント。
調べたら本当にヨック・モックの原型はこの映画の中にも出てくる絵画が元みたい。
ヴァンショーの作り方とか細かいとこもいい。そしてこちらは息子ドパルデューの麗しさにもうっとり。

ケン・ラッセル『クライム・オブ・パッション
底抜けな80年代アメリカだけども、段々と様子がおかしくなる錯綜の世界。結婚13年目で気がつく夫婦の性のすれ違いよ...
夫の"保健体育"芸。満たされないガールなキャスリーン・ターナーの七変化がかわゆいし、コレクションの春画にビアズリーからのクリムト接吻に落ち着いてよかったね!マニアな神父ストーカーのアンソニー・パーキンスもだいぶやばい。夢に出そう。
ケン・ラッセルの変態っぷりが存分に楽しめてゴチソウイサマデス!

楽しみにしていた、トマス・ヴィンターベア『アナザー・ラウンド
冒頭からあれ?私がみはじめたのはトマス・ヴィンターベアだよね?と思っちゃうほどこんな作風だっけ、となりながらもデンマークお洒落物件で繰り広げられるくたびれ中年オジ様達のアルコール0.05%血中濃度のための会がどんどんエスカレートしてゆくのが楽しくもあり、やっぱりね。と破滅してからの一応楽しいラストで、マッツの表情の変化からのパァーなダンスは見ものです。

1. ハル・ハートリー『トラスト・ミー
2. ブレイク・エドワーズ『テン
3. ルイス・ブニュエル『銀河
4. ウォン・カーウァイ『今すぐ抱きしめたい
5. セミフ・カプランオール『グレイン』未ソフト化
6. ベルトラン・ブリエ『メルシー・ラ・ヴィ
7. アニエス・ヴァルダ『ダゲール街の人々
8. デヴィッド・マメット『フィル・スペクター』(未ソフト化)
9. アルフレッド・ヒッチコック『ハリーの災難
10. 石井聰亙『高校大パニック
11. エンキ・ビラル『バンカー・パレス・ホテル
12. 神代辰巳『宵待草
13. 石井輝男『網走番外地
14. ブレイク・エドワーズ『ビクター/ビクトリア
15. 西村昭五郎『希望ヶ丘夫婦戦争
16. オリバー・ストーン『ナチュラル・ボーン・キラーズ
17. クリント・イーストウッド『荒野のストレンジャー
18. ルネ・クレール『そして誰もいなくなった
19. 五社英雄『薄化粧
20. アラン・コルノー『セリ・ノワール
21. ジャファル・パナヒ『ある女優の不在
22. アーネ・グリムシャー『マンボ・キングス/わが心のマリア
23. ウォン・カーウァイ『欲望の翼
24. トマス・ヴィンターベア『アナザー・ラウンド
25. アラン・コルノー『めぐり逢う朝
26. ケン・ラッセル『クライム・オブ・パッション
27. 木下惠介『少年期
28. マイケル・ホイ『Mr.BOO!インベーダー作戦
29. ルネ・クレマン『パリは霧にぬれて
30. 小林正樹『壁あつき部屋
31. アーサー・ペン『逃亡地帯

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2022.02.03 12:00 PM