Films:Nov,Dec.2022『ゴッド・ファーザー』ほか
今更ですが、去年の11月に観た17本+12月に観た13本=30本のおまとめです。
繁忙期やらなんやらであまり観られなかったのですが最後の方でドラマの『The Offer』見始めたりでどっぷりゴッドファーザー&コッポラムードで締めくくった2022年でした。
そんなに予算が無かったとは思えないリッチな雰囲気作りから、どこが発泡スチロールなんだろー?ってみちゃうお宅の壁から、ドン登場とニャンコでセリフ入ってこないほっこりシーンや、食いしん坊描写に(トマトパスタと思っていたらソーセージと肉団子のパスタでした。もちろん作った!)
何よりアル・パチーノの変化ぶりやシチリアの色味、ラストシーンのドア閉めるとこまで隙の無さすぎる完璧さに改めてひれ伏す。あのドラマみたらエンドロールのラディの名前に目がいっちゃう!と改めて見返しても素晴らしすぎるゴッド・ファーザー。
今年は265作品。だいぶ観るペースも、本数も以前よりは減ってきてはいるもののこうしてまだまだ映画を観ていられる時間があるだけでも幸せです。
小津安二郎も見返し中で、『晩春』は
全てが失われた日本の風景と家族の図だけども、優しさと慎ましさのある凛とした人々の暮らしにうっとり。
あんな笠智衆とーさんなら私も嫁に行きたくないー!
娘の友達と酒を交わすシーンからのりんごで泣くわ。で、杉村春子のがま口の行方が気になる。しっとり砂利道な北鎌倉に住みたすぎる。
『東京暮色』では不幸の山積み、アンニュイ稲子ちゃんがえらく可愛い。タートルにタータンチェックスカートは永遠です!
それぞれの女性の都合がみんなバラバラで暗い。山田五十鈴の上野駅で窓拭きふき、なシーンとか胸にくるし
いちいち、ちょっとした昭和な仕草、風景暮らしにも丁寧が過ぎてグッときます。
そんな中の子供のおもちゃのワンコの位置が毎回気になりすぎる!完全なる小津映画の素晴らしさをどっぷり堪能。
ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ『サイコティック』(未ソフト化)
これは素敵な出会い。OPクレジットの色味からオシャン!で、冒頭の服選びのとこからしてキレキレで最高のリズ様。そして纏うサイケ衣装。イタリアの風景も建築も素敵ななか、理想の男をさがし、ウォーホルですら違う!と彷徨う。
公園のシーンの霧と光とベンチアートまで幻想的で狂ったシーンばかりと、リズ様のヒステリックな中年女具合で観ているほぼ同じ歳な私までも狂わされそうな最高映画体験!こういうのはぜひともソフト化キボンヌ!
アイヴァン・パッサー『生き残るヤツ』
タイトルから切ない。OPから漂いまくる70年代の良作な香りプンプン!タクシードライバー化する前のデ・ニーロはちょい役。そしてジョージ・シーガルのダメダメ男のぐだぐだ感がたまらない。
様々なエピソードの中でもエレベーターの死と回転ドアシーンは素晴らしすぎた。謎のリッチガール、カレン・ブラックがまた可愛い。部屋には猫たちと猫クッション。たまらん最高なアメリカンニューシネマ。
フォルカー・シュレンドルフ「セールスマンの死」もお初で見ましたが、壊れまくりのダスティン・ホフマンが、団塊引きずってるボケかけの父親とダブってきて辛すぎて大変。
どこまでもピリピリとした家族関係とセールスマンの哀愁が哀愁どころで済まない意地悪全開で参った!
セットの抜けやドア、窓、鏡の演出までキッチリ魅せてくれる舞台ぽさも楽しい。
新作系では楽しみにしていた、ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』は大人になりたいというか、起業家精神がまさにUSAなホフマンJr.と大人になりきれないHAIM末っ子との行ったり来たりの拗らせまくりのラブと、LAの奇妙な大人たちとのなんかずっとふわふわした世界。
ダントツでどうかしているブラッドリー・クーパーと、ふんわかサフディに、なんか小さく見えるトム・ウェイツに、予備校時代の絵の先生にそっくりだったディカプの父にとネタ祭り。だったけど今ひとつ乗れない方のPTAでした。
その代わりというかダークホースなファブリス・エブエ『ヴィーガンズ・ハム』(未ソフト化:原題"Barbaque")がなかなか。
かなりブラックの効いたユーモアで肉屋の主人キャラ濃い!と思ったら監督!ヴィーガンな食べ物も大好きですが、行き過ぎのテロ活動はいかがなものか?と特に過激なのであろうヨーロッパ圏の実情をかなり皮肉ってて見応えあり。
やっぱり...なカニバリズムだけどポップにやってくれているからコラー!ってなるやつ。神戸牛ヴィーガンなるパワーワード。Vパワー!
トップガンも一応見たもののあまり思い入れもないので割愛。
11月に観た映画17本
1. 柳町光男『19歳の地図』
2. アンソニー・マン『怒りの河』
3. 山田洋次『たそがれ清兵衛』
4. スチュアート・ローゼンバーグ『暴力脱獄』
5. 大林宣彦『彼のオートバイ、彼女の島』
6. ノーマン・ジュイソン『夜の大捜査線』
7. ジョージ・ミラー『イーストウィックの魔女たち』
8. ルネ・クレール『自由を我らに』
9. 小津安二郎『晩春』
10. 石井輝男『網走番外地 北海編』
11. セルジオ・コルブッチ『殺しが静かにやってくる』
12. ウォン・カーワァイ『花様年華』
13. ウォン・カーワァイ『2046』
14. オーソン・ウェルズ『オセロ』
15. ポール・トーマス・アンダーソン『リコリス・ピザ』
16. ジョセフ・コシンスキー『トップガン・マーヴェリック』
17. クリストス・ニク『林檎とポラロイド』
12月にみた映画13本
1. フランシス・フォード・コッポラ「ゴッドファーザー」
2. フランシス・フォード・コッポラ「ゴッドファーザーPart2」
3. フランシス・フォード・コッポラ「ゴッドファーザーPart3」
4. フォルカー・シュレンドルフ「セールスマンの死」
5. ロバート・スティーヴンソン『ジェーン・エア』
6. キャリー・ジョージ・フクナガ『ジェーン・エア』
7. ウィリアム・ワイラー『ファニー・ガール』
8. セルジオ・レオーネ『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ』
9. ジュゼッペ・パトローニ・グリッフィ『サイコティック』未ソフト化
10. アイヴァン・パッサー『生き残るヤツ』
11. ジャスティン・カーゼル『ニトラム』
12. ファブリス・エブエ『ヴィーガンズ・ハム』未ソフト化
13.小津安二郎『東京暮色』