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Films:Oct.2022『軽蔑』ほか

05 November 2022
202210_Movie

10月にみた映画19本をざざんと振り返り。
最近見返しているゴダール。先月の訃報でその亡くなり方までらしいなぁ。R.I.P.でございます。そして改めてその偉大さに平伏す。
軽蔑
20年以上ぶりに見返してみて、あまりにも芸術的すぎるB.B.の美尻が一番に焼きついてしまうけど、ゴダールの分身のようなミシェル・ピコリの悩ましさとそんなちっぽけな悩みよ。と思わされてしまうカプリの名建築すぎるマラパルテ邸とオデュッセイアが漂流した地中海の水平線。
あっけない自動車事故のシーンやしつこく流れるジョルジュ・ドルリューのテーマ曲、インテリアまでどこまでもやたらと感傷的でさすが。
カルメンという名の女
マルーシュカ・デートメルスの熟れ頃な果実のような肌と体が眩しい。そして陰毛もたわわ。男子トイレでするシーンとか衝撃的!
映しとられる物、人、その他の諸々がゴダールにかかるとドラマチックになるから不思議。それぞれの音、挟み込まれる弦楽四重奏、ラストの"夜明けのことだよ。"だなんて締めの台詞にもキュンとした。
初めはイザベル・アジャーニがカルメン役の予定たったのもなんかハマり役で観たかったし、はちゃめちゃなうえに、ブリオシュをもぐもぐするゴダールも愛おしい。

タル・ベーラもありがたい4Kレストアで少しづつ。
ファミリー・ネスト
デビュー作にしてすでに作風は決まってるタル・ベーラ。まだ荒削りな感じもあるけどそこも含めてドキュメンタリータッチなハンガリーのお国や住宅事情の地獄さがピリピリと伝わってきて胃が痛い。挟み込まれるポップソングと遊園地のシーンからのオェェェー、のシーンが素晴らしい。
アウトサイダー
アウトサイダーとは誰なのか?精神病院から始まり、共産時代のハンガリーの田舎町の抜け出せなさとその中で生きてるヴァイオリン弾きの自称ベートーベン男のもがきもしない生き方は今の時代に見ると正しくも思えちゃう。男がクズ設定だけど女もなかなかクズ。
同僚のおじさんバンドから、ガラガラのディスコで大声で訴える嫁のシーンとかラストのハンガリー狂詩曲の響くレストランまでどこまでも漂う諦めみたいな空気。

原田眞人も見るたびにその天才ぶりを思い知る。近年のはアレだけどこの辺りのはビンビンにいい!
さらば愛しき人よ
続々と出てくる豪華な役者たち。ゴッドファーザーでやってたって会話からの結婚式のシーンとかニクい。
内田裕也のガムの小道具やら、どこまでも細かいうえに、バブリーな物件から例のプールみたいのまでロケーションのこだわり。
吉田豪みたいな佐藤浩一も怪演。
コーンブレンドにトムソーヤに、ボードウォーク作りたかったマスターのコンテナ酒場とかかぶれ過ぎなの最高〜!

ヘンリー・ジャグロム『トラックス』は未ソフト化なのが残念すぎる素晴らしい作品!(U-NEXTで配信しています)
既に壊れていたんだろうけど、寝台列車が進につれてブッ壊れてゆくデニス・ホッパーとその悪夢描写にプロパガンダソングにでちょーつらい。
そんな中に挟み込まれる素朴ガールとのキスが余計に儚い。予想通りな棺桶からのランボー化!でどこまでも哀しい。けどこういう作品たまらん。

10月にみた映画19本
1. 新藤兼人『北斎漫画
2. ルイス・ブニュエル『昼顔
3. 清水宏『都会の横顔』
4. 原田眞人『さらば愛しき人よ
5. グァルティエロ・ヤコペッティ『続・世界残酷物語
6. ジョン・ヒューズ『フェリスはある朝突然に
7. J.L.ゴダール『軽蔑
8. 長尾啓司『時代屋の女房2』
9. リー・チーシアン『1978年、冬。
10. テレンス・ヤング『夜の訪問者
11. J.L.ゴダール『カルメンという名の女
12. 山田洋次『男はつらいよ 寅次郎恋愛塾
13. シドニー・ルメット『旅立ちの時
14. タル・ベーラ『ファミリー・ネスト
15. 山根成之『さらば夏の光よ
16. 恩地日出夫『地球へ...
17. ヘンリー・ジャグロム『トラックス』U-NEXT<未ソフト化>
18. タル・ベーラ『アウトサイダー
19. ジョン・カサヴェテス『チャイニーズ・ブッキーを殺した男

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2022.11.05 12:00 PM