Films:Sep.2022『山猫』ほか
びっくりするくらいに映画を観なかった9月。とはいえ結構濃ゆもの観つつ、実は
『ふぞろいの林檎たち』を観たりしていました。
観たかった、ジャン・エルマン『さらば友よ』
静かに交わる男の友情。アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソン二人の魅力溢れすぎてて沁みます。
忍び込む会社も洒落てて、ラストの方に女性の顔にあるドアから出てくるのとか痺れる!からの最後のマッチシーンでイェー。マンダム!
アキ・カウリスマキ『コントラクト・キラー』
観たことなかったカウリスマキもの。J.P.レオーinロンドン。
彼のキャラが存分に生きてる、死ねない男。最初のボッチ飯な辺りから好き。各部屋のカラーリングから、裏が墓場のフレンチバーガー屋など物件もいい。ジョー・ストラマーのお歌コーナーも痺れるぅ。で、ほんわかジーンと良きです。名言多数。
ありがたいレストア、タル・ベーラ。『ダムネーション/天罰』
炭鉱のリフトが延々と流れる、水浸しな村から出ることのないそのリフトのように酒場でボヤく男。とにかく常にびしょ濡れなのが印象的で、横に流れるカメラにつられて眺める彼らの日常にこちらもうんざりさせられた挙句やの犬に成り下がるラストの絵は絶望的。
挟み込まれるダンスシーンや酒場のバンドの音楽なども切なくて美しい。
ルキノ・ヴィスコンティ『山猫』
定期的に摂取したくなるヴィスコンティ。
圧倒的美的センスと退廃。シチリアの激動の時代の新旧の入れ替わり、かなわぬ若さと確実な死への確信。バート・ランカスターの哀愁の表情がたまらん!
華やかなパーティーの夜のダンスの食事、やがて訪れる祭りの後の夜明けの雰囲気とラストシーンまで。「義人の死」の絵画のあるシーンに自分も死に近づいているからなのか、泣く。濃密に編まれたヴィスコンティの映画はやはり格別。いい時間を過ごせる。原作本も読みたいな。
そしてこの後にドン・コルレオーネが出てくるシチリア。食いしんぼうなのでシチリア料理作って気分だけでもシチリア気分になろう〜!
食いしん坊目線でもたまらない、ジャ・ジャンクー『帰れない二人』
冒頭の関羽さんの登場からして最高。変わりゆく中国の歴史と人々を風景、服装、持ち物ケータイなどなどで見事に伝わる。最後の防犯カメラまで隙なし。
で、仁義を貫くのはどっちだとばかりな男女。新疆へ向かう人やオリンピック会場までまさに激動の中国史。そんな中にUFOが現れたりとても独特な感性がクセになるジャ・ジャンクー。
9月に観た映画14本
1. 池広一夫『座頭市海を渡る』
2. ジャン・エルマン『さらば友よ』
3. アキ・カウリスマキ『コントラクト・キラー』
4. 森崎東『帝銀事件』
5. フランシス・フォード・コッポラ『アウトサイダー』
6. テレンス・ヤング『レッド・サン』
7. ジョン・フォード『ミスタア・ロバーツ』
8. ルネ・クレール『ル・ミリオン』
9. グアルティエロ・ヤコペッティ『世界残酷物語』
10. アピチャッポン・ウィーラセタクン『メモリア』
11. 山田洋次『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』
12. タル・ベーラ『ダムネーション/天罰』
13. ルキノ・ヴィスコンティ『山猫』
14. ジャ・ジャンクー『帰れない二人』