2月に観た映画18本をザザザーーんと振り返り。
みられた本数は少ないながらも、かなり濃いめなラインナップでした。

アレクサンダー・マッケンドリック『マダムと泥棒』
超天然系ヨボヨボさんこと、切れ者ばーちゃんとドジっ子五人組！コーエン兄弟の元ネタ、初めて鑑賞。
絶対好になっちゃう英国の雰囲気とばーちゃまのスタイルたまらん。アフタヌーンティーにつどうBBA達最高！真似したい♡
随所に散りばめられた面白さで楽しかった〜！メイクのせいかみんな顔色悪い男たちも逆に味わいある。

イリヤ・フルジャノスキー『DAU.ナターシャ』『DAU.退行』と観たかった恐ロシア、ようやく挑戦！
全体主義社会を完全に再現して2年も暮らさせるっていう狂ったプロジェクト。全てが本当の生活として撮っているそうでどうかしてる。
全体に流れる抑圧とその中の人間の生々しさが画面中に匂い立つよう。
『ナターシャ』は前半のナターシャとオーリャのヒリヒリしたやりとりや、ウォッカをビールで流し込み泥酔するシーンからの拷問シーンの人が本物のKGB！(その後心臓発作で死亡って、おそロ...)
撮影監督がハネケとかの人ってのも納得。そして始まりでしかない感じの終わり方でゾクゾク。
仏語吹き替えのテロップにシャーロット・ランプリング様！
続く『退行』はダンテ地獄編に因んだ9章でまさに地獄に堕ちてゆく。
西側文化が入ってきて浮かれていたり、チェコの家具でお洒落になった食堂や所長室もつかのま、ゴゴゴ...と入れ替わるアジッポの本物KGBな雰囲気に肩パッドにで怖すぎる。
さらに投入される超人プロジェクトことネオナチたちのボス、マクシムも本物のネオナチと知って震える。(さらに獄中"自殺"していた恐ロ...)
6時間という長さでも見応えありすぎてがっつり世界に呑み込まれた後のラスト45分くらいがハードすぎてしばらく豚肉食べられなさそう。
進化、特異点は地獄しかないのか、その答えが2022年以降のロシアとこれからなのかと思うとすごい映画撮っちゃったな。しかもこのセットが組まれたのがハルキウだそうで...
他のも観たいけど観られる日は来るのかしら。(公式で配信しているけど私の語学力では無理そうです)
パリのポンピドゥーではこのプロジェクトをインスタレーションでやっていたそうで、見たかったな。
公式サイトのクレジットで気付いたけど、ダウ役が、指揮者のクルレンツィス！え？本当？老けメイク？と思ったらどうやら若き日のダウ役だそう。
わーーーますます観たいよ。他シリーズ！これは久々に爪痕残された作品。ラース・フォン・トリアーやミヒャエル・ハネケ、タル・ベーラ等好きな方はきっと好きなはずです。

マイケル・サルノスキ『ピッグ』
前情報全くなしで、タイトルとニコラスと"俺のブタを返せ"に惹かれて。
予想を良い意味で裏切ってくれて、美味しいの満載と、それぞれの再生の物語とでちょー良い映画でした。
ニコラスの吐く台詞もいちいち面白いし、地震や津波の話の後に"フレンチトーストは固めのパンでな。"とか最高でしょ！
ポートランドの山でソローよろしくな暮らしのニコラス。ラストで改めてみるあの小屋、窓辺のハーブに調理器具に理想的すぎる！これが長編初監督作品とか今後も期待大。

フリッツ・ラング『メトロポリス』
100年前の作品なのに輝きを放つ素晴らしさ！想像力の溢れ出る表現の数々にパートごとのリズム感まで完璧すぎる。
機会化したブリギッテ・ヘルム嬢の表情から身のこなしがなんかものすごいもの観た気になれる。群衆のシーンの恐ろしさもなかなか。
男性陣もやたら麗しいお顔揃いで、サイレント映画の表現力に改めて感服しました！
淀川先生の解説の動画みたら、C3POディスられていて笑ってしまった。

先月あたり何故か我が家ではqueenブームで毎日何かしらの動画見てた。

黒澤明『七人の侍』
荒野の七人観たので改めて。多分二度程以前に観ているはずなのにあまり覚えていない私の残念な脳。そのおかげでとてもフレッシュな気持ちで観られたのでよし！
流石の代表作で三船敏郎のはっちゃけっぷりが眩しい。その対照的なクールすぎる宮口精二に惚れ惚れ。どのキャラも立ちまくり、農村のぐちゃぐちゃっぷりはなんか圧倒的！ラストにかけての大団円のノリ、グルーヴ感！世界の黒澤の圧力。

2月に観た映画18本
1. 黒澤明『七人の侍』
2. 山田洋次『男はつらいよ　知床慕情』
3. フリッツ・ラング『メトロポリス』
4. 安彦良和『機動戦士ガンダム　ククルス・ドアンの島』
5. ヴァルディミール・ヨハンソン『ラム』
6. アレクサンダー・マッケンドリック『マダムと泥棒』
7. 伊藤智生『ゴンドラ』
8. クリストファー・ノーラン『テネット』
9. アンソニー・マン『脱獄の掟』
10. 内藤誠『十代　恵子の場合』
11. イリヤ・フルジャノスキー/エカテリーナ・エルテリ『DAU.ナターシャ』
12. イリヤ・フルジャノスキー/イリヤ・ペルミャコフ『DAU.退行』
13. アキ・カウリスマキ『パラダイスの夕暮れ』
14. マイケル・サルノスキ『ピッグ』
15. カンタン・デュピュー『地下室のヘンな穴』
16. 今村昌平『赤い殺意』
17. ロマン・ポランスキー『チャイナタウン』
18. 出目昌伸『神田川』